『私はここにいるのに…』

  • 2018.07.06 Friday
  • 22:05

かつて働いていた臨床現場

ガンで入院していたMさんに、こう言われた。

『あれこれやってはくれるが、患者のそばに近づいて、話を聞こうとする人はいないね。


…私はここにいるのに…。』



…私は ここに いる


そして『しかし、あなたには私が見えているようですね、少しは見込みがありそうだな。』







病室担当の僕を優しく諭してくれたのだろうか、

海外で研究職に携わるという人生の大ベテランのMさんは、何につけても回りくどさがなく、真っ直ぐな物言いだった。


彼がどんな気持ちで、ベッドに横たわっていたのか…、
ふとした瞬間に、そうしたやりとりを思い出す。

ベッドサイドに'立って'話しをするナースは、
'今にも'どこかに立ち去ってしまうんじゃないかといったシグナルを出している感じだよ、だからこっちも、じっくり話そうなんて、始めから思っちゃいない…次に行きたそうだからね

これもM氏との会話の中で耳にした言葉だった。





相手の心境には、同じ立場になってみてはじめて理解できるのかもしれないが、

異なる立場の人に対して、共感したり、想いや心情を想像してみる



異なる立場の方々が、どんな困難さや、苦しみの中にいるのか、





'お互い様'として、

'同じ人'として、できることを分かち合いたいものだと思うのは、

この歳になって、人の喜びが増えたり、悲しみが減ることが、自分自身の喜びにも変わりやすく、幸福感が高まりやすいことを体感としてわかってきたからか。

あるいは その誰かの'悲しみがいくらかでも緩和され'、'その人の喜びに繋がる'ことを

どうも'自身の脳'が
'報酬'と、受け止めているようで、

仕事の流れの中に組み込まれている
自然なそうした報酬により、

こちらもむくむくとした力が湧いてもくる。





昨日、料理人の方が、他の料理人の下で修行をするドキュメント番組をたまたま見たのですが、



修行先の指導する料理人の方が、


料理の仕込みがちぐはぐな修行中の料理人の方に対して、


『彼はなんの為にやってるのかな?』と1人テレビカメラに向かって語った。

確か、その指導者の料理人の方は、


『僕はお客さんを喜ばせたいからやってるのですが。』というようなことを言われた。




とてもシンプルな動機



自分が仕事をする内的な動機をシンプルに言葉にしてみたらどうなるか?



と考えてみると




やっぱり、喜ぶ姿が見たいからだったり、あるいは悲しみがその人から少しでも減ったらいいのに…、

とした言葉になるかなと、
ボソボソと頭のなかで、
言葉を想い浮かべた。



料理人の指導者の方が、

こうも言っていた。

修行している彼には、


『お客さんが見えているのかな?』

と。



またまたシンプルで鋭利なズキッとくる言葉。






随分と前にさかのぼる記憶のなかから、

Mさんの言葉がふっと蘇る。




『私はここにいるのに…』






コメント
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< September 2018 >>

selected entries

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM